ページタイトル:小里一本木の皀莢 当サイトのシンボル

画像:小里一本木の皀莢 名称 小里一本木の皀莢
    (おさといっぽんぎのさいかち)
名称の典拠 現地の樹名板(注1)
樹種 サイカチ
樹高 16m(注2) 今はずっと低い
目通り幹囲 4.1m(注2)
推定樹齢 400年(注2)
所在地の地名 宮城県遠田郡涌谷町小里字松崎
 〃 3次メッシュコード 5741−71−01
 〃 緯度・経度 北緯38度35分33.6秒
           東経141度08分25.6秒
涌谷町指定天然記念物(1987年8月1日指定)
撮影年月日 2024年6月10日

注1)涌谷町教育委員会と宮城県文化財保護協会が連名で設置(設置年月不詳)。ただし天然記念物指定名称は「小里一本木のさいかち」で「皀莢」は平仮名
注2)上記樹名板による





 これも小里地区に立つ4本の天然記念物サイカチのうちの1本で、柳沢のp莢の北西約800m、生活道路から玄関への通路の入口に立つ。
 4本のうち、この1本だけが他より2年程遅れての天然記念物指定である。
 この2年間に担当者が変わったか、サイカチの漢字も他の3本は「p莢」で、この1本のみが「莢」である。(「p」と「皀」は意味が異なる別の文字で、p莢の方が本命だと思うのだが、パソコンの漢字変換では皀莢と出る)
 指定が遅れたのは途中で幹を失っているから…でないことは明らか。天然記念物指定後に設置された樹名板には「樹高16.44m」と記されている。
 この姿になった(した)のは、あの2011年の巨大地震「東北地方太平洋沖地震」である。
 ご主人のお話では、サイカチも大きく揺れて、幹の途中で折れてしまった。倒れた部分は道の反対側まで届いたということである。
 ご覧のように、上部を失った今でも、極めて樹勢が良い。当時はきっと大きな樹冠を戴いていたのだろう。
 切断部分を観察すると、内部は空洞になっていたものの、外周部分にはまだ相当な厚みがある。そう簡単に倒れるとは思えないのだが…。
 立木が左右に揺れるときの固有振動数は、樹冠部の質量と、たわみに対する幹の弾性係数でほぼ決まる。地震の周期が基本振動の周期と一致して共振現象が起きたとともに、幹の一部に亀裂や穴等の弱い部分があったのではないだろうか。
 考察の当否は別として、いずれにしても残念なことである。
 天然記念物であるから町にも連絡なさったようだが、結局すべて自分の手で片付けざるを得なかったとのこと。あの大混乱の最中であるから、町にも事情があったのだろうと同情するが、片付ける際、「こんな姿になってしまったので根元から伐っていいか」と尋ねたら、「ダメだ」と言われたと、笑いながら説明して下さった。
 でも、倒壊部分の一部を保存しておられるところをみると、今でも大切に思っておられることに変わりはないと思われた。 
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