ページタイトル:上山のカキ 当サイトのシンボルマーク

画像:上山のカキ_1


画像:上山のカキ_2
名称 上山のカキ (うえやまのかき)
名称の典拠 現地の樹名板(注1)
樹種 カキノキ
樹高 15m(注2)
目通り幹囲 2.9m(注2)
推定樹齢 300年(注2)
所在地の地名 岡山県美作市上山(注3)
 〃 3次メッシュコード 5234−21−71
 〃 緯度・経度 北緯34度53分51.8秒
           東経134度08分16.5秒
美作市指定天然記念物
撮影年月日 2022年3月27日

注1)美作市教育委員会が設置(設置年月不詳)。天然記念物指定名称もこれに同じ
注2)上記樹名板による
注3)2005年3月31日、2つの郡にまたがる5町1村が合併して美作市誕生。旧行政区は英田郡英田町(あいだちょう)





 和気町との市町界近く、妙見山(みょうけんさん、519m)の東から北に向かって延びる谷の斜面に棚田が広がる。上山(うえやま)の棚田だ。
 美作市公式ウェブサイト中の「みまさか観光ナビ」によれば、かつてこの地区の棚田は8300枚もあったという。
 棚田の連なる美しい風景は見る者の心を喜ばせてくれるが、作り手にとっては平地の田にない労力が要求される。田の大きさ・形や地形要素が田植機やコンバイン等の農業機械を拒否しているからである。そもそも斜面を上り下りするだけでも大変な労力だ。
 高度成長時代、「三ちゃん農業」(注4)という言葉ができたが、その後、都会に出た若者が地元に戻らなくなって「二ちゃん農業」へと変化し、労働の担い手であるじいちゃん・ばあちゃんが高齢になって働けなくなると、後継者のいない田畑は、まず中山間地域から、どんどん荒れ果てていった。経済成長と引き換えに日本が選んだ道である。
 ここ上山でも草地化がかなり進んだようだが、棚田を惜しむ人々がNPO法人「英田上山棚田団」を結成。かつての美しい景観が戻りつつある。嬉しいことだ。
 前置きが長くなったのは、標記のカキノキがそんな棚田の一角に立つからである。
 所有者のお宅を訪ねると、とても歓迎して下さり、ご主人が案内して下さった。
 このカキノキは家の守り神だとのこと。
 本来カキノキの枝は折れやすいものだが(私も子供の頃、登った柿の枝が付け根から折れて落ちたことがある)、その言葉通り、敢えて切ったり折ったりはされなかったのだろう。上部の枝の様子から、なんとなく分かるような気がする。
 家を建てる際、大工さんの息子さんが誤ってカキノキの枝を切ってしまった。すると間もなく、その方は交通事故で亡くなったという話も聞かせて下さった。
 家人から大切にされていることがよく分かった。
 カキの種類はサイジョウガキ(西条柿)だそうである。

注4)現金収入を得るため、家で最も働き手となるはずの父ちゃんが出稼ぎに行かざるを得ず、残った母ちゃん・じいちゃん・ばあちゃんの「3ちゃん」が農作業を担った
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