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名称 越後八十八ヶ所のオヒョウ (えちごはちじゅうはっかしょのおひょう) 名称の典拠 なし 樹種 オヒョウ 樹高 20m(注1) 目通り幹囲 4.8m(注1) 推定樹齢 不明 所在地の地名 新潟県糸魚川市谷根(たんね) 〃 3次メッシュコード 5537−47−25 〃 緯度・経度 北緯37度01分35.7秒 東経137度56分47.2秒 天然記念物指定 なし 撮影年月日 2021年8月28日 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク内の24のジオサイトの一つ「月不見(つきみず)の池ジオサイト」の中に「越後八十八ヶ所」があり、そこに立つオヒョウを訪ねた。 まず「越後八十八ヶ所」について説明したい。 弘法大師の四国八十八ヶ所霊場を模した新四国八十八ヶ所霊場が全国各地にあって、新潟県にも「越後新四国八十八ヶ所」がある。第1番能生山光明院(糸魚川市)に始まり第88番瑠璃光山薬照寺(南魚沼市)までの88ヶ寺から成る霊場である。本家の四国同様、こちらは歩いて、あるいは車など他の交通手段を用いて、数日〜数十日がかりで回ることになる。 単に「越後八十八ヶ所」というと、そちらを指すのが普通なので、ちょっと紛らわしい名称だが、こちらの「越後八十八ヶ所」はお寺の境内等でときどき見かけるような、もっと狭い範囲に88体の石仏を安置したもので、長くてもせいぜい数時間で回ることが出来る。 ただし、ジオサイトの一部であることからも想像できるように、このミニ八十八ヶ所は並みのミニ霊場ではない。外側からは喬木の茂る普通の森にしか見えないのだが、その内部は巨岩・奇石で埋まった異次元世界なのである。コースの全長は2kmほどだが、一回りするには2時間以上かかる。 これらの巨岩は、300万年前に噴火した海底火山の噴出物が泥岩層の上に固まったもので、海底が隆起して山地になる過程で発生した巨大地滑りにより壊されながら運ばれて、ここに集積したもの。(「日本の奇岩百景プラス」ウェブサイトによる) この異次元世界に八十八ヶ所を開こうと考えたのは、江戸時代末期の僧玉瑞(ぎょくずい)和尚。明治前夜の慶応2年(1866)に完成したらしい。 地形が地形だけに、ルートは様々な大岩を巡る。従って霊場を巡るには登山する心構えと装備が必要。氷河のクレバスのように深い縦穴が口を広げている場所もあるので、浮かれ気分で訪ねるのは止めた方がいいと思う。 そもそも、ツアーでもない限り、多くの人が訪れるような場所ではない。携帯電話は通じるものの、仮に事故が起きてもすぐには助けてもらえないと思った方がよい。案内図にも自己責任で入山するよう書いてある。(土曜日にもかかわらず、私が駐車場に着いた時も発つ時も、車は私の車1台だけだった。もちろん途中では誰にも会うことがなかった) アドベンチャー気分満点のミニ遍路道なのだが、私の関心はあまり足元に向かず、もっぱら巨木探し。 オヒョウはルートの中間付近に立っていた。札所の番号については少々心許ないのだが、39番と42番の間であることは間違いないと思う。 岩の上に立ち、多くの蔓が這い上がっている。立地環境通りの野性味のある姿だ。背中のザックをおろし、大休憩を兼ねて暫し眺める。 私にとっては初めてのオヒョウ巨木である。 最初はオヒョウを見たら引き返す予定だったが、札所番号が半ば近くになったことでもあり、せっかくなので、88番まで全て回った。 |
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