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名称 小見のサクラ (おみのさくら)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 エドヒガン
樹高 17m(注2)
目通り幹囲 4.6m(注2)
推定樹齢 400年(注3)
所在地の地名 新潟県岩船郡関川村小見
〃 3次メッシュコード 5739−14−24
〃 緯度・経度 北緯38度06分13.1秒
東経139度33分00.2秒
関川村指定天然記念物(1980年11月17日指定)
撮影年月日 2021年4月3日
注1)関川村教育委員会が設置(設置年月不詳)。ただし天然記念物指定名称はこれと異なり、単に「サクラ」
注2)環境庁「日本の巨樹・巨木林 甲信越・北陸版」による
注3)上記案内板による
この冬は大雪で、私が住む新潟県上越市では、計測点がある市街中心部での最深積雪が2.5mほどにもなった。ところが3月になると急に暖かくなって、雪はどんどん融け、我が家の裏のソメイヨシノは3月27日に開花。翌日にはもう見頃を迎え、4月2日には散り始めていた。
例年に比べて10日ほど早い満開だったので、他県の探訪計画や天気回りの具合もあって、小見のサクラもそろそろかなと、予定より早く訪ねてみた。
しかし、やっぱり気が早すぎたようだ。小見のサクラはこの日咲き始めたばかり(多分)。
大桜は私有物なのだが、集落内の生活道路脇に立ち、見学は自由。花は残念だったが、おかげで(?)見学者は私一人だけ。青空の下で十分に楽しませて貰った。
上記「日本の巨樹・巨木林」によれば、地元で「スジマキザクラ」と呼ばれているらしい。
スジマキというのは、一般的には、畑に細い溝を作ってそこに作物の種を播く作業(条播き)のことだが、水稲農家では苗代に種籾を播くこともスジマキと言う。(田植機による田植えが一般的になって以来、苗代は作らず育苗箱を用いるのが普通だが、スジマキの語は残っている)(※)
スジマキザクラは、開花によってスジ播き作業の時期を教えてくれたのだろう。
ところで、大桜の樹種について、環境省巨樹データベースではヤマザクラ、案内板でも『ヤマザクラ系の巨木』とあるが、ヤマザクラでなくエドヒガンではないだろうか。
他サイトの満開写真で葉の開出が見られないこと、萼筒(がくとう)が顕著にふくらんでいること等がその根拠であるが、相変わらず樹種鑑定には自信がないので、私が間違っているかも知れない。
※この部分について、新潟県長岡市のAさんから、記述がおかしいとのご指摘があって、一部を訂正した。その際、辞書を調べてわかったこともあるので、それを記す。(興味の無い方は無視して下さい)
「すじまき」の語について、小学館「日本国語大辞典」(全13巻)に『稲のたねもみを苗代にまくこと』とあるほか、広辞苑はじめ、主要な辞書にはこの類の意味を表す記述がない。同大辞典は方言だとしていないのだが、一般的に使われることはないのだろうか(私自身はこの語をしばしば耳にする)。さらに「すじ」について、新潟県中頸城郡(上越地方)で用いられる方言だとして、『たねもみのこと』とある。ただしAさんご指摘の通り、種籾を「すじ」と称するのは上越に限ったことでなく、中越・下越でも同じ。
現代日本語方言大辞典にはこの類の「すじ」について記載がなく、スジマキを長野県方言として『稲の種をまくこと』と記述している。
こうしてみると、スジマキザクラという名前は、他地方の人にとって意味を理解しがたいのかも知れない。要は種蒔き桜と同じ意味なのだが…(2023/02/07追記) |
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