ページタイトル:追分の二本杉 ロゴ:人里の巨木たち

画像:追分の二本杉(東側の個体)

 ↑ 東側の杉  ↓ 西側の杉

画像:追分の二本杉(西側の個体)
名称 追分の二本杉 (おいわけのにほんすぎ)
名称の典拠 天然記念物指定名称(注1)
樹種 スギ
樹高 25m/25m(注2)
目通り幹囲 5.0m/4.0m(注2)
推定樹齢 伝承800年(注3)
所在地の地名 宮城県登米市津山町横山(注4)
 〃 3次メッシュコード 5741−72−09
 〃 緯度・経度 北緯38度35分26.1秒
           東経141度22分02.2秒(注5)
登米市指定天然記念物(1994年4月1日指定)
撮影年月日 2016年5月17日

注1)現地の標柱(石巻市教育委員会が設置)では「二本杉(夫婦杉)」
注2)この二本杉は、環境省巨樹データベース(2000年フォローアップ調査)に、津山町の巨木としても、北上町の巨木としても載っている。つまりどちらの町からも「わがまちの巨木」として登録されたわけだ。上記データは旧津山町分として載るもの。一方、旧北上町(現石巻市)分として載るデータでは、樹高はそれぞれ、25m/20m、幹囲はそれぞれ6.3m、4.7mとなっている。(いずれも前者が東側の個体)
注3)環境庁「日本の巨樹・巨木林 北海道・東北版」による(北上町側データ)
注4)2005年4月1日、9つの町が合併して登米市誕生。旧行政区は本吉郡津山町
注5)これは東側のスギの位置





 石巻市の北上町女川と登米市の津山町横山を結ぶ県道64号(北上津山線)の市境近くに立つ大杉。
 大杉は2本あって、その間を細い山道が通っている。自動車通行可能な今の県道が出来る前は、この道が本道だったらしい。
 現地で見る限り、大杉は2本とも、稜線上を意識して植えられたように見える。
 ところが、その稜線が市境だということでもないようなのである。
 2016年5月現在、両市の境界線は、地理院地図では稜線よりも石巻市寄りに、ゼンリンの地図データでは(マピオンやグーグル地図も)稜線よりも登米市寄りに描かれている。つまり、前者によれば稜線は登米市に、後者によれば石巻市に含まれることになる。
 言い換えると、もしも後者の境界線が正しいのだとすれば、石巻市に立つスギを登米市が天然記念物に指定した、という奇妙なことになってしまうわけである。まさか、そんなことはないと思うのだが…。
 いずれにしろ、どの地図でも十分な細部まで信用できる、というわけではないことがわかった。
 閑話休題。
 訪ねたのは、小雨降る暗い日。ただし、風がないので、巨木探訪にはそれほど支障は無い。
 大杉への山道入口は石巻市側。入口の近くには駐車スペースもある(草地)。
 この山道から見れば、2本のスギは峠の位置に立つことになる。
 どちらから登って来た場合でも、登りはここで終わり。一休みして汗を拭うには絶好のポイントだ。開けた場所を探して腰を下ろし、一息つく様子が目に見えるようだ。大杉の姿は安堵感の引き金になったことだろう。
 翻って、今はどうだろう。自動車で峠を越える人にとっての大杉と、昔、歩いて峠を越えた人にとっての大杉とは、網膜に写る像は同じであっても、それが心に想起させるものは、まったく別物であるに違いない。
 峠の二本杉は、巨木好きの私の心を揺さぶってはくれたが、かつての旅人が抱いた感慨には遠く及ばなかったことだろうと思われる。
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