ページタイトル:練貫のエノキ 当サイトのシンボルマーク

画像:練貫のエノキ(幹と並ぶ) 名称 練貫のエノキ (ねりぬきのえのき)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 エノキ
樹高 23m(注2)
目通り幹囲 5.9m(注2)
推定樹齢 170年(注2)
所在地の地名 栃木県大田原市練貫
 〃 3次メッシュコード 5540−30−03
 〃 緯度・経度 北緯36度55分14.4秒
           東経140度02分19.9秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2023年9月24日

注1)2020年3月に大田原市が設置した「おおたわら令和の名木選」案内板
注2)上記案内板による





 練貫は那須塩原市との境界に近い。最寄りの駅はJR那須塩原駅で、2kmほどしか離れていない。
 左図のエノキは家々から離れた田圃の中。ぽつんと一本だけ立っていて、300mほど離れたところを走る県道182号(東小屋黒羽線)からもよく見える。すぐ近くを高圧送電線が通っているので、それを辿ってもよい。(脇見運転注意)
 何故エノキがここに立つのか。「少しだけ遠くの風景」の考察が興味深いので紹介しよう。
 今は水田とエノキのほかに何も無いように見えるが、かつてここは2つの道が交差する交差点だった。それを「今昔マップ」サイト上の古い国土地理院地形図と比較して示しておられる。
 エノキの根元に寛政12年(1800)銘の庚申塔があり、庚申塚と呼ばれていたことから、江戸時代の一里塚にケヤキやエノキが多く植えられたと同様に、ここでもエノキが目印として植えられたのでないかというのである。
 地理院地図の航空写真からは、ここが、機械耕作しやすいように、直線をもとに一枚一枚を大きくまとめた近年の耕地整理後の水田であることがわかるし、庚申塔はしばしば道祖神と同一視され、村境や交差点に設置されることが多かった。
 イネの側から見れば日差しを遮る厄介者だが、ここに住む人たちは、耕地整理で道が無くなっても、慣れ親しんだエノキを切るのは忍びなかったのだろう。おかげで、今は風景の大切な一員となった。(「とちぎのふるさと田園風景百選」に選ばれている)
 なかなか美しい姿のエノキである。
 合体木のような気がするが、全体に統一感があり、少し離れて見ればまったく1本の独立木である。
 樹勢も素晴らしい。強風を遮る物がない野中にあって、折損枝は殆ど見当たらない。現存する大枝の全てが健全である。
 凜と立つ孤高の名木の一本と言ってよさそうだ。
 何故か環境省巨樹データベースには未登録である(2023年現在)。
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