|
|
|
名称 加蘇山神社の杉 (かそやまじんじゃのすぎ)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 スギ
樹高 45m(注2)
目通り幹囲 8.2m(注2)
推定樹齢 800年以上(注3)
所在地の地名 栃木県鹿沼市上久我石裂(おざく)
〃 3次メッシュコード 5439−74−18
〃 緯度・経度 北緯36度35分57秒
東経139度35分51秒
鹿沼市指定天然記念物(1984年2月14日指定)
撮影年月日 2007年4月28日
注1)1985年3月に鹿沼市教育委員会が設置
注2)環境庁「日本の巨樹・巨木林 関東版(T)」による。これは、上図の個体データで、ほかにこれと向かい合う単幹のスギ(写真なし)が樹高45m、目通り6.1m。また下図の社名柱後方のスギは樹高51m、目通り6.4m(このスギについては環境庁資料には掲載されておらず、データは案内板による)。これら3本が天然記念物指定を受けている
注3)上記案内板による
石裂山(おざくさん、879m)は古くからの修験道の霊場であり、加蘇山神社はその東麓。ちなみに反対側、南西麓の旧粟野町入粟野尾ざくには賀蘇山神社がある。
平凡社「栃木県の地名」によれば、社伝に神護景雲年間(767〜70)勝道の開山といい、もとは奥ノ院が本殿だったが、山が険しくて参拝が困難なため、文化11年(1814)山麓に遙拝のための「下の宮」を建立した。明治44年(1911)には「下の宮」に本殿が造営され、旧本殿は奥ノ院とされるようになった。これが現在の姿である。なお、山頂には月読命(つきよみのみこと)を祭神とする摂社月山神社がある。
里から石段の下までは、自動車通行可。
境内はスギの巨樹が立ち並び、壮観である。なかで、さすがに天然記念物の3本は別格。
まず、最下段、向かって右手の大杉に目をひかれる。2本の合体木のようだが、根回りがすごい。
最大の木は、本殿右手(向かって左)、奥ノ院に至る参道入口に立っている。緑の苔がかなりの高さまで這い上がっている。
ところで、参詣の途中、「この木からパワーをもらったという知人の話を聞き、自分も来てみた」とおっしゃる紳士に出会った。私より少し年輩のようだ。
その場は、「そうですか。貴男にも授かるといいですね」と言っただけで別れたが、この木に限らず、私にも、確かにそのようなことはある。しかし、それは、栄養分が活力を生み出す類の物理的な作用ではなく、心の問題なのだと思う。
若く美しい木々の中に、何万分の一,何十万分の一かの確率で、たまたま他の数十倍もの年月を生きる個体がある。
その生は常に栄光を伴っていたわけではあるまい。時に醜悪ですらあるその姿が、過去の艱難辛苦を物語る。しかし、何一つ愚痴を言わず、すべてを受け入れてきたのだ。
そんな木と対峙していると、とかく尊大になりがちな己れが恥ずかしくなり、改めて出直す意欲が湧いてくる。
そんなことを「心が洗われる」というのだろうか。
※神社名の読み方を間違っていたので訂正した(2024/03/22訂正) |
|