ページタイトル:弘長寺のスギ 当サイトのシンボルマーク

画像:弘長寺のスギ 名称 弘長寺のスギ (こうちょうじのすぎ)
名称の典拠 なし
樹種 スギ
樹高 28m(注1)
目通り幹囲 5.1m(注2)
推定樹齢 300年以上(注1)
所在地の地名 新潟県岩船郡関川村蛇喰(じゃばみ)
 〃 3次メッシュコード 5739−14−64
 〃 緯度・経度 北緯38度08分34.4秒
           東経139度32分49.7秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2023年8月26日

注1)環境庁「日本の巨樹・巨木林 甲信越・北陸版」による
注2)実測値





 女川右岸、国道290号の女川橋の上流1.4kmほどのところに蛇喰という名前の集落があり、北側山裾に浄土宗松澤山長福院弘長寺がある。
 左図の大杉は、参道の終点、向かって右に立つ。
 図は境内平面から見る姿。反対側では急斜面のため根張りが力強い。(「少し大きめの画像」でご確認を)
 縦に長く裂けた部分があり、自己修復がかなり進んでいることもご覧になれると思う。過去に落雷の被害にあったのかも知れない。今はそんな過去など忘れたように樹勢が良さそうに見える。
 ところで、蛇喰には、次のような伝説がある。
 剛胆な男が自分を食おうとした大蛇を逆に倒して切り刻み、味噌漬けにした。その女房が、「決して見るな」と言われつつ、好奇心に逆らえず漬物樽を開けて中身を食べたところ、大蛇に変身したという話である。(昔話の詳しい内容は国土交通省北陸地方整備局飯豊山系砂防事務所のウェブサイトに載っている)
 伝説の後半では、大蛇に化した女房の企みを知った座頭が生命を賭して村を洪水から救ったという話が続くのだが、関川村には事実、洪水に関する悲しい記憶がある。
 昭和42年(1967)8月28日、豪雨で荒川が氾濫、流域の山形県・新潟県に大きな被害をもたらした。関川村内だけでも、死者34名、家屋の全半壊371棟。被害総額は当時の村年間予算の60倍にも及んだ(Wikipediaによる)。半世紀以上を経た今でも語りつがれる大災害である。
 悲しい記憶を後世に語りつぐことと、洪水を防いだという伝説を組み合わせて、昭和63年(1988)から「せきかわふるさと塾」の塾生を中心に、村興しを兼ねて「大(たい)したもん蛇(じゃ)まつり」という新しい祭りが催されることになった(関川村公式サイトによる)。
 「大したもん蛇」は藁と竹と金網で作られた蛇で、全長は82.8m(注3)。8月28日の記憶を伝えるためである。(祭りは毎年8月最終日曜日に実施される)
 そこに弘長寺の名は登場しないが、伝説の舞台が蛇喰であること、旅の琵琶法師が登場することなどから、まるで無関係であるわけにはいかないということだろうか、どなたが奉納したか、本堂の梁には小振りの「大したもん蛇」が置かれていた。

注3)藁と竹で作った世界一長い蛇としてギネスブックに載っているらしい
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