ページタイトル:蒜沢阿弥陀堂のイチョウ ロゴ:人里の巨木たち

画像:蒜沢阿弥陀堂のイチョウ

画像:蒜沢阿弥陀堂のイチョウ(幹と並ぶ)
名称 蒜沢阿弥陀堂のイチョウ
    (ひるさわあみだどうのいちょう)
名称の典拠 なし
樹種 イチョウ
樹高 40m(注1) 実際はもっと低い
目通り幹囲 6.1m(注1) 大小2幹の合計値
推定樹齢 不明
所在地の地名 宮城県宮城郡松島町根廻字蒜沢
 〃 3次メッシュコード 5741−40−96
 〃 緯度・経度 北緯38度24分46.4秒
           東経141度04分21.6秒
松島町指定天然記念物(1970年12月1日指定)(注2)
撮影年月日 2016年5月18日

注1)環境庁「日本の巨樹・巨木林 北海道・東北版」による
注2)天然記念物指定名称は「蒜沢阿弥陀堂境内・銀杏」





 かつて宮城県中部に品井沼(しないぬま)があった。周囲16.5kmに渡る広大な遊水池だったらしい。地形から見て、現在のJR東北本線「品井沼」駅がその南端付近にあたると思われる。
 水さえ抜ければ、ここは広大な水田になる、ということで、政情が安定した江戸時代に入って干拓事業が始まった。(その後、干拓は昭和の時代まで続き、現在、品井沼はもうない)
 仙台藩は、品井沼への河川流入路を絶ちつつ、沼の水を松島湾に導く大規模な計画を立てた。そのためには、沼の南に横たわる丘陵にトンネルを掘る必要があった。現在、「元禄潜穴」と呼ばれている排水トンネルである。
 「元禄潜穴」の延長は約2.6km。それに対して、高低差は僅か160cm。高度な技術を必要とする難工事だったことだろう。完成までには多くの犠牲者も出た。(宮城県公式サイト中、「元禄潜穴」の説明を参考)
 犠牲者のなかに、「おまん」という名の娘もいたらしい。
 よほど周囲から愛されていたものか、おまんの死を悼む者たちが「おまん地蔵堂」を建てて、おまんの霊を慰めた。(案内板には、人夫頭が自己保身のために謀殺したという話が紹介されているが、これは後世の創作でなかろうか。本当は事故死だったのではないだろうか)
 その地蔵堂も朽ちてきたので、昭和60年(1985)に有志が集まって地蔵堂を建て替えた。そのときの記念碑が残っている。
 しかし、その地蔵堂も、平成23年(2011)の大地震で大被害を受けた。現在の地蔵堂は、平成24年11月に修築されたものである。
 「おまん地蔵堂」の話が長くなってしまった。
 地蔵堂が建つのは、大イチョウの阿弥陀堂の境内である。私はイチョウに誘われて阿弥陀堂にやって来たのだが、元禄潜穴とおまん地蔵堂の方に、つい気を取られてしまった。
 蒜沢阿弥陀堂があるのは、品井沼駅の西南西約2.2km、元禄潜穴第六ずり出し穴の北東400mほどのところである。
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