ページタイトル:御座の石の杉 当サイトのシンボルマーク

画像:御座の石の杉



画像:御座石神社の一の鳥居
 御座石神社の鳥居
名称 御座の石の杉 (ござのいしのすぎ)
名称の典拠 現地の標柱(注1)
樹種 スギ
樹高 30m(注2)
目通り幹囲 4.9m(注2)
推定樹齢 200〜299年(注2)
所在地の地名 秋田県仙北市西木町桧木内(にしきちょうひのきない)字相内潟(あいないがた)(注3)
 〃 3次メッシュコード 5940−45−92
 〃 緯度・経度 北緯39度45分04.8秒
           東経140度39分02.0秒
仙北市指定天然記念物(1983年4月1日指定)
撮影年月日 2020年9月26日

注1)仙北市教育委員会が設置(設置年月不詳)。ただし天然記念物としての名称(指定名称)は単に「杉」
注2)環境省巨樹データベース(2000年フォローアップ調査による
注3)2005年9月20日、仙北郡内の2町1村が合併して仙北市誕生。旧行政区は仙北郡西木村





 田沢湖の北西岸、県道38号(田沢湖西木線)と同247号(相内潟潟野線)の合流点から東へ約600m。湖に向かって御座石神社(ござのいしじんじゃ)が鎮座する。
 案内板によれば、今からおよそ600年前、熊野権現を信奉する修験者がここに来て、湖岸の岩頭で修行。『竜神に神通せんと水想観(注4)の蘊奥(うんのう=奥義)を究め一祠を創建』したのが始まりという。
 修験者が修行したとされる大石は、上面が広い水平面となっており、まわりから少し湖に突き出ている。久保田藩(秋田藩)第2代藩主佐竹義隆(さたけよしたか、1609〜1672)公が神社参詣の折、この石に腰を下ろした。以来、「御座石」と呼ばれるようになったということのようだ。(境内に張り出された「由来」による。現在、御座石の上には鳥居が建っている)
 田沢湖はかつて辰子潟と呼ばれていたらしい。「たつこ」の語源は不明だが、アイヌ語由来説もあるようだ。(青森県には田子町(たっこまち)という町もあり、源を一にするのかも知れない)
 その辰子の文字からヒントを得たか、当地には辰子姫伝説がある。
 伝説には様々なバリエーションがあるようだが、それらのなかで私が気に入ったのは次のような話である。
 辰子はとても美しい娘だったが、自分の美しさに気づかなかった。ところが、あるとき鏡に写る自分の姿を見てから、この美しさを永遠に失いたくないとの思いが次第に強くなった。居ても立ってもいられなくなった辰子はなんとしてもその思いを遂げたくなり、永遠の美を授けてくれるよう観音様に願掛けをした。辰子の必死の願いに、観音様は、ある場所に湧く泉の水を飲むようにと言った。その水を飲んだ辰子は、飲めば飲むほどに喉の渇きが激しくなり、水を飲み続けた結果、ついには龍に変身。人間である自分に得られるはずのない不老不死を望んだ報いと悟った辰子は、以来、湖の主として暮らすようになった。(私の推測も少し混じる)
 清純そのもののような、金色に輝く辰子像(舟越保武作)からは想像も出来ない話だが、御座石神社には辰子が飲んだ泉というのがあって、その近くに上半身は人間、下半身が龍となった辰子のブロンズ像がある。
 ずいぶん長くなってしまった。大杉の話に移ろう。
 大杉が立つのは、御座石神社の表参道入口。県道のすぐ脇。上記データが報告されてから20年を経て、今は幹囲も5mを超えていると思われる。
 残念ながら(?)辰子の話に大杉は登場しない。

注4)観無量寿経に説かれる、十六観の第二。清らかな水とすき通った氷を観じて、極楽の大地を思うもの。(三省堂「大辞林」)
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