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名称 婆羅門杉 (ばらもんすぎ)
名称の典拠 案内板の記述より(注1)
樹種 スギ
樹高 37m/36m(注2)
目通り幹囲 7.4m/5.3m(注2)
推定樹齢 700〜800年(注2)
所在地の地名 奈良県天理市福住町
〃 3次メッシュコード 5135−77−42
〃 緯度・経度 北緯34度37分32.9秒
東経135度54分02.5秒
奈良県指定天然記念物(2020年3月6日指定)
撮影年月日 2023年5月19日
注1)2020年3月に天理市教育委員会が設置した「下之坊の大スギ」案内板に、「婆羅門杉」と通称されると書いてあったので。なお、天然記念物としての正式名称は案内板のタイトル通り「下之坊の大スギ」。
注2)上記案内板による。いずれも前者が向かって右(北側)、後者が左(南側)の個体データ
雨が降りしきるなか、下之坊(しものぼう)の婆羅門杉に向かった。
下之坊は、かつてあった普光院永照寺の一坊。永照寺は、聖武天皇の勅願により良弁(ろうべん)僧正が天平11年(739)に創建したと伝えられているらしい。
鎌倉前期の作と推測される十一面観音像が残っているそうだ。良弁云々が正しいのかどうか知らないが、鎌倉時代前期以前に起源を持つ古いお寺だったのは間違いないのだろう。
中世までは上・中・下之坊をはじめ湯屋坊など6坊を擁したという。今は下之坊のみが残る。
参道石段の上、左右に一対の大杉が立つ。いわば門杉と呼ばれるような位置である。
左右の大きさが異なるが、いずれも5m超えの幹囲を有する力強い門番である。
向かって右が特にすばらしい。分厚い梁のような断面を持つ支幹を何本も張り上げる姿には圧倒されざるを得ない。
ところで、樹名の婆羅門(バラモン)は、ご存知の通り、インドのカースト制のもとでは神に一番近く、頂点に位置する司祭階級のこと。しかし、日本に於いては、渡来したインド僧のことを、所属階級に関わりなくみなバラモンと呼んだようだ。
中国人僧の顔立ちは日本人とあまり変わらないが、バラモン僧の容姿は大きく異なる。見慣れない顔つきが、なにか特別な能力を持つ僧侶と思わせたとしても不思議はないように思われる。
婆羅門杉は、この地方では珍しいウラスギの姿だ。吉野杉の仲間しか知らない者は、この異様な力強さに肝をつぶしたのではなかろうか。
大杉の姿に、バラモン僧の風貌と底知れぬ力を重ね見たのかも知れない。 |
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