ページタイトル:安長寺の大樟 当サイトのシンボル

画像:安長寺の大樟(幹と並ぶ)

画像:安長寺の大樟
名称 安長寺の大樟 (あんちょうじのおおぐす)
名称の典拠 現地の標柱(注1)
樹種 クスノキ
樹高 32m(注2)
目通り幹囲 12.0m(注2)
推定樹齢 300年以上(注2)
所在地の地名 福岡県朝倉市甘木(注3)
 〃 3次メッシュコード 5030−15−02
 〃 緯度・経度 北緯33度25分13.5秒
           東経130度39分35.3秒
福岡県指定天然記念物(1957年8月13日指定)
撮影年月日 2009年8月1日

注1)旧甘木市教育委員会が設置(設置年月不詳)
注2)環境庁「日本の巨樹・巨木林 九州・沖縄版」による
注3)2006年3月20日、1市2町が合併して朝倉市誕生。旧行政区は甘木市





 甘木山安長寺は臨済宗東福寺派の古刹で、本尊は観世音菩薩。寺内に安置される地蔵は、天然痘予防に霊験があるとされ、古くから信仰を集めたようだ。
 当地の領主甘木遠江守安長が円鑑(1308年示寂)を開山に迎えて創建したという。
 本堂前に、1本の大クスノキが立っている。樹齢は700年余と伝えられている。
 ここ安長寺の北東400mほどの所には須賀神社(祇園社)が鎮座し、そこにも、ほぼ同じような大きさのクスノキがある。(須賀神社の創建も安長寺とほぼ同時期)
 伝承では、これら2本のクスは、いずれも豊後国(現大分県)玖珠郡切株山より子苗を移植したものという。700年の伝承樹齢は、創建時にこれらが植えられたとするもののようだ。
 これら2本は「夫婦樟」だということだ。祇園社の方が「男樟」(「青樟」)、こちらが「女樟」(「赤樟」)と名付けられている。樹形や樹肌から男女を当てはめるなら、納得できる割り振りである。安長寺のクスからは、強固な意志を持って威嚇する感じよりは、むしろ大きな包容力を感じる。
 写真を撮っていると、ご住職らしき人物が、親切に説明をしてくださった。
 夫婦樟はとても仲が良く、夜になるとフクロウに託して、互いに語り明かすのだとか。「実は、アオバズクが住み着いているんですよ」と、探してくださったのだが、残念ながら、この日は姿を見せてくれなかった。3羽ほどいるそうだ。昼間はじっとして下を見おろしているそうである。老境に入りかけたクスノキだが、今なお睦まじく交信しているようだ。
 下図に見える枯れた部分は、天正14年(1586)、羽柴秀吉に抗す島津軍が太宰府岩屋城攻撃で、甘木に侵入して放火。その際にクスノキも類焼した。その傷痕だという。空洞内には焦げ痕がある。戦国時代の生き証人なのだ。
 傷痕にもめげず、クスノキは樹勢が良い。
 数年前、山門前の通称「安長寺通り」道路工事の際、地中からクスノキの根が出てきたらしい。近所には他にクスノキはないから、このクスノキの根だと思われるとのこと。クスノキは、通りから50m以上離れているのだが、遠くまで根を伸ばすものだと、みなビックリしたそうである。
 
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