ページタイトル:あがりこ大王 当サイトのシンボル

画像:あがりこ大王_1

画像:あがりこ大王_2

画像:あがりこ大王_3
名称 あがりこ大王 (あがりこだいおう)
名称の典拠 「森の巨木たち百選」指定名称
樹種 ブナ
樹高 25m(注1)
目通り幹囲 7.6m(注1)
推定樹齢 300年以上(注1)
所在地の地名 秋田県にかほ市象潟豊岡(注2)
 〃 3次メッシュコード 5840−50−82
 〃 緯度・経度 北緯39度09分34秒
           東経140度01分28秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2009年8月25日

注1)林野庁東北森林管理局のホームページより
注2)2005年10月1日、由利郡内3町が合併して「にかほ市」誕生。旧行政区は由利郡象潟町





 「あがりこ大王」は、「中島台レクリエーションの森」の一員であるブナの名前。
 ここは鳥海国定公園の一部で、森のなかには貴重な「鳥海マリモ」が見られる獅子ヶ鼻湿原などもあり、多くの観光客が訪れる。
 私が訪ねたのは平日だったのだが、駐車場はほぼ満杯。入りきれないバスが通路で待つほどだった。
 森林を構成するのは広葉樹。森の中は明るい。遊歩道のほとんどの部分には木道が敷かれている。木道以外は歩かないでほしいというメッセージなのだろう。
 歩き始めてしばらくすると、地上1〜2mで複数の支幹に分かれる奇形の木々が群生する場所に至る。これが「あがりこ」と呼ばれる樹形だ。
 ブナの「あがりこ」が多いが、ミズナラなど他の樹種も混じる。木々が密集する場所では2m前後、比較的開けた場所では1mほどの高さで主幹を失い、枝分かれしている。その高さ付近には、枝の付け根だったと見られる瘤や空洞も多くみられる。
 この「あがりこ」は人が作った樹形なのである。
 少し前まで、一般家庭の燃料といえば、薪炭のほかには無かった。そのうち木炭は薪よりも軽く、お金にもなったので、雑木が容易に手に入る人々のなかには炭焼きをする人も少なくなかった。
 炭を焼くには、運搬するときのことを考えて、炭焼き窯を雑木林に設置するのが合理的だ。なぜなら、製品の炭より原料の薪の方が嵩張るし、重量もあるからである。そして、製品を運ぶには、雪がしっかり締まっている春先が最適だ。そりを使って、最短距離で運ぶことが出来る。
 これが、「あがりこ」を作る結果となった。
 支幹に分かれている高さは、原料の木を伐ったときの積雪の深さである。元気のいい木は、伐られてもまた芽を出す。それが細いうちは手をつけないが、何年かを経て、再び適当な太さになったところで伐る。毎年の積雪量に大差はないだろうから、伐られる高さはいつもほぼ同じだ。これが何度か繰り返されて、「あがりこ」になる。
 「大王」の名をもらったブナの近くにも炭焼き窯が残されている。
 すらっと伸びた美しいブナを見慣れた目には、「あがりこ」の姿が異形に見えることは確かだ。しかし、これを醜いというのでは、あまりに人間の勝手に過ぎる。人間と歴史を共有した仲間として、慈しんでやりたいものだと思う。
 もっとも、日本各地から炭焼き窯を見なくなって久しい。
 「あがりこ」たちは、こののち、姿を消すばかりである。
 
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