ページタイトル:戸たてずの楠 当サイトのシンボル

画像:戸たてずの楠(西側)

 ↑西側のクス ↓東側のクス

画像:戸たてずの楠(東側)
名称 戸たてずの楠 (とたてずのくすのき)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 クスノキ
樹高 15m/17m(注2)
目通り幹囲 8.2m/8.0m(注2)
推定樹齢 700年(注3)
所在地の地名 愛媛県南宇和郡愛南町正木(注4)
 〃 3次メッシュコード 4932−45−04
 〃 緯度・経度 北緯33度00分13.5秒
           東経132度40分57.8秒(注5)
愛南町指定天然記念物(1976年3月26日指定)
撮影年月日 2013年5月13日

注1)1992年3月に旧一本松町教育委員会が設置
注2)環境庁「日本の巨樹・巨木林 中国・四国版」による
注3)上記案内板による
注4)2004年10月1日、南宇和郡内の全ての町が一つに合併して愛南町誕生。旧行政区は南宇和郡一本松町
注5)これは西側のクス(上図)の位置





 篠川(ささがわ)右岸に、権現町という名の集落がある。愛南町の中心部からはずいぶん遠く、篠川の対岸は、もう高知県。
 集落内には、代々庄屋を務めた旧家があり、その裏庭の縁に2本のクスノキ大木が立っている。「戸たてずの楠」と呼ばれるクスノキだ。
 愛媛県生涯学習センターのデータベース「えひめの記憶」が、そのあたりの事情に詳しい。
 つまみ食いして紹介すると、「四国邊路道指南」や「四国遍礼名所図会」に紹介された内容は、庄屋の蕨岡家は篠山権現が守ってくれるため、盗賊が家に入ることが出来ず、そのため雨戸を設置しなかった。それで「戸たてずの庄屋」と呼ばれた。そういうことのようだ。
 また、「伊予の伝説」では次のようになっている。
 現在の篠山神社の基礎を作った蕨岡家だが、それから何代かの後、篠山から天狗がやってきて、蕨岡家の当主を嘲り笑った。しかし逆に、天狗は当主の放った矢に射落とされ、翼を奪われてしまった。すると一転、天狗は泣いて詫び、「もし翼を返してくれるなら、この家にはずっと泥棒が入らぬようにする」と約束するので、翼を返してやった。以来、盗人が入ることもなく、家は栄えたというのである。
 その天狗が止まっていたのが、このクスノキだという。それで、クスノキも「戸たてずの楠」と呼ばれるようになったのだろう。
 川に近いせいか、多湿な環境のようで、幹には苔が厚く着き、ほかにも着生植物が多い。庭木というより、むしろ自然児の印象。
 家人は、これら2本のクスノキを神聖視して、ずっと手を加えずにきたのだろうと思われる。
 
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