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名称 里の与兵衛の椎の木 (さとのよへいのしいのき) 名称の典拠 輪島市の公式インターネットサイト 樹種 スダジイ 樹高 24m(注1) 目通り幹囲 9.2m(注1) 推定樹齢 不明 所在地の地名 石川県輪島市里町 〃 3次メッシュコード 5637−10−13 〃 緯度・経度 北緯37度25分42.4秒 東経137度02分19.6秒 輪島市指定天然記念物(1969年7月11日指定) 撮影年月日 2007年9月23日 南志見川(なじみがわ)に沿って走る県道277号(柳田里線)の東、私有地内に立つスダジイ。県道脇に小さな案内板が出ている。よほど他事に気を取られていない限り、県道を走っていて、立派な樹冠を見落とすことはない。 標記の名であるが、「里」は村の名。「与兵衛」は所有者の名である。 案内板によれば、里の与兵衛さんは、当地きっての豪農であった。寛永12年(1635)の持高表では129石8升5合。多くの塩田を所有し、塩作りも手広くやっていたという。 記録に残っているわけだから、もちろん実在した人物(家系)であり、記録通りの身代を築いたことも史実であろうが、のち急速に没落したようだ。その落ちぶれようが余程印象的だったのか、与兵衛さんには伝説も付随している。 悪魔と取引したファウストと似た話に、死後の苦痛と引き替えに現世の金銭的栄華を得ることができる「無間の鐘(むげんのかね)」の話がある。与兵衛さんはその鐘を撞いたのである。この鐘を撞いた者は、この世で裕福に暮らせる代わり、死後は最悪の地獄である無間地獄(阿鼻地獄)に落ちなければならない。与兵衛さんは「7代よかれ」と言って撞いたため、7代の間は繁栄が続いたが、その後、落ちぶれてしまった。そんなことも案内板に書かれてあった。 ところでいま、この土地とスダジイを所有している人は、どんな人なのだろうか。与兵衛さんの直系というわけではないのだろう。 現在この土地に、スダジイのほかには何もない。 県道脇の案内板に従って入らせていただいた。私有地であることは間違いなさそうだが、細い道があり、草刈りをした形跡もある。公開して下さっているものと思いこんでいたのだが、あるいは無断侵入だったのだろうか。 スダジイはヒトの欲得とは無縁な世界で、静かに息づいているように見えた。 |
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