ページタイトル:大瀬崎のビャクシン サイトのシンボル

画像:大瀬崎のビャクシン(夫婦ビャクシン)

 ↑夫婦ビャクシン ↓大瀬崎

画像:大瀬崎

画像:大瀬崎のビャクシン
名称 大瀬崎のビャクシン (おせざきのびゃくしん)
名称の典拠 天然記念物指定名称より
樹種 ビャクシン
樹高 12m(注1)
目通り幹囲 7.6m(注1)
推定樹齢 300年以上(注1)
所在地の地名 静岡県沼津市西浦江梨
 
〃 3次メッシュコード 5238−46−33
 
〃 緯度・経度 北緯35度01分49秒
           東経138度47分18秒
国指定天然記念物(1932年7月25日、「大瀬崎のビャクシン樹林」として大瀬崎一帯に生育する130本余りのビャクシンを一括指定)
撮影年月日 2009年2月15日

注1)環境庁「日本の巨樹・巨木林 東海版」による





 伊豆半島北西端、駿河湾に突き出た小さな半島の先端が大瀬崎(おせざき)である。
 細長い半島の岬近く、もちろん周囲を海に囲まれているのだが、そこに「神池」という大きな淡水の池がある。流入する川などないから、湧水が作った池だと思われる。こんな立地にあって、どうして淡水なのか不思議だ、ということで、そこに神の所業を感じたのだろう。神池を含む半島先端部は、大瀬神社(おせじんじゃ)の境内でもある。
 神社から先の岬に立ち入るためには、拝観料が必要。所定の金額を納め、整備された遊歩道を歩く。
 歩き始めてすぐ、下図のビャクシンが浜辺に立っている。樹勢良く、姿が魅力的なビャクシン巨樹だ。
 最大の個体は、岬の先端。灯台の近く。(上記の緯度・経度データはこの木のもの)
 夫婦ビャクシンと名付けられている。「夫婦(めおと)」の名は、これが2本の融合木だということを物語っている。固く結びついた夫婦である。
 講談社「日本の天然記念物」によれば、かつて、これより遙かに大きく、直径5.1mもの巨大なビャクシンが立っていたという。幹の空洞内で、青年たちが花札に興じた話も伝わっているらしい。
 明治25年(1892)4月9日、南の旧戸田村大字井田に発生した山火事が、折からの強風に煽られ、みるみる燃え広がった。3kmほど離れていたにもかかわらず、大瀬崎も延焼を免れ得なかった。
 岬一帯のビャクシンたちはすべて、炎に包まれた。件の花札のビャクシンも、それで生命を絶たれてしまった。
 その後、焼けただれた幹から新しい芽を吹き、生き残ったのが現在のビャクシンたちである。(「伊豆大瀬岬のびゃくしんにつきて」と題した案内板より)
 大瀬崎はまた、スキューバ・ダイビングのメッカでもある。
 2月半ばにもかかわらず、訪れたのが日曜だったこともあって、岬のあちこちには、多くの若いダイバーたちが、楽しそうに集っていた。
 無言で苦難を乗り越えた老ビャクシンと、屈託無く笑う元気な若者たちの対比が、なんとなく愉快だった。どちらも頑張れと思うと同時に、なんだかとても爽快な気持ちになった。
 
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