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名称 大椚のスギ (おおくぬぎのすぎ)
名称の典拠 なし
樹種 スギ
樹高 26m(注1)
目通り幹囲 5.4m(注1)
推定樹齢 300年以上(注1)
所在地の地名 山梨県上野原市大椚(大椚)(注2)
〃 3次メッシュコード 5339−30−56
〃 緯度・経度 北緯35度37分50.4秒
東経139度05分01.4秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2010年5月15日
注1)環境庁「日本の巨樹・巨木林 甲信越・北陸版」による
注2)2005年2月13日、南北都留郡の2町村が合併して上野原市誕生。旧行政区は北都留郡上野原町
中央自動車道談合坂サービスエリア(下り線)の南から、高速道路と並行する道を辿ると、この大杉の前に出る。
すっとまっすぐ立つ人工林に見られるスギの姿でなく、外圧を受けながら苦労して育ったという感じで、身をくねらせている。根元には空洞があるようだが、樹勢は良さそうで、緑濃い葉をたくさんつけている。
幹には注連縄。御神木とされているようだ。
このような場合、スギには所属する寺社の名を冠して呼ぶのが普通だ。私もそうしようと考えたのだが、困ったことに、ここには下図に見える観音堂のほか、一段高い平面には吾妻神社もある。いったい、どちらに所属しているのか。そして、どちらの名をつければよいのか。仕方がないので、地名を冠して呼ぶことにした。
大椚(おおくぬぎ)とは珍しい名である。たまたまボランティアで公衆トイレの清掃をしておられた男性に由来を伺うことが出来た。
祖父から聞いた話だがと前置きのあと、昔、富士講の行者が富士山に向かう際、町内の富士浅間神社の末社に詣でた。その際に突きさした杖が大きくなったと伝える大クヌギが実際にあったからとのこと。
大クヌギは「さかさクヌギ」と呼ばれていたのだろうか。各所にある「さかさ某」についての講釈もしてくださった。
杖は本来、太い方を手に持ち、細い方を地面に突く。木は根に近い方が太いわけだから、そのまま地に挿せば、天地さかさまになるのが当たり前だ、というのである。なるほど、一理ある。
大杉の前を通る道は、昔の甲州街道である。東には鶴川宿、西には野田尻宿があった。ここから800mほど東には、江戸日本橋から18里にあたる大椚一里塚もあったようだが、今はもうない。現在の風景から当時の面影を見つけるのは難しい。
大杉は、ここから世の変遷を眺めてきたわけだ。口がきけたなら、興味深い話をたくさん聞かせてくれることだろう。 |
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