|
|
|
注1)環境庁「日本の巨樹・巨木林 九州・沖縄版」による
大分市と臼杵市を結ぶ県道21号(大分臼杵線)は九六位峠(くろくいとうげ)で市境を越える。そこから直線距離で約1km南西方向に九六位山(標高452m)があり、その南に天台宗九六位山円通寺がある。東九州自動車道九六位トンネルのほぼ真上にあたる位置だ。
円通寺縁起によれば、聖徳太子(574〜622?)の時代、百済から来朝した日羅上人が豊後国古国府の岩屋寺(後の円寿寺)を開くとき、東方の峰に慶雲がたなびくのを見て、そこに向かった。中腹に至って、生い茂る老樹に難儀していると、九匹の鹿猪が数多(あまた)の鹿猪を率いて来て、一斉に峰をめがけて駆け上った。その後には一条の道が開け、日羅上人は容易に山頂に立つことが出来た。歓んだ上人はここで千手観音像を刻み、一宇を建立して九鹿猪山(くろくいざん)円通寺と名付けた。(「九鹿猪」が「九六位」と改められたのは寛文8年=1632のことという)
参道の途中に立つこのイチョウも、日羅上人の手植えとされている。
イチョウは自然のままに生長し、そして朽ちたという感じで、勢いと衰えが同居している姿である。周辺が薄暗いこともあって、葉のない3月、野性に満ちたイチョウの姿からは、少々おどろおどろしい印象も受ける。
すらっとした優等生とは異なる、こんな姿もまた良いものだ。 |
|