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名称 中渡のイチイ (なかわたりのいちい)
名称の典拠 なし
樹種 イチイ
樹高 10m(注1)
目通り幹囲 4.6m(注1)
推定樹齢 300年以上(注1)
所在地の地名 青森県十和田市滝沢字中渡
〃 3次メッシュコード 6041−61−38
〃 緯度・経度 北緯40度32分06.9秒
東経141度13分54.3秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2022年7月26日
注1)環境庁「日本の巨樹・巨木林 北海道・東北版」による
五戸町との市町境をなす後藤川(ごとうがわ)左岸を走る県道145号(戸来戸和田線)沿いに中渡の集落がある。
左図のイチイは集落の東端近く、県道近くの小さな墓地に立っている。
一本で立ち上がったのち、ある高さで複数幹に分かれているため、それぞれの太さは大したことがないが、姿にまとまりがあり、イチイとしては全体の大きさもなかなかのもの。根の姿も面白い。
旧環境庁時代に刊行された「日本の巨樹・巨木林」にこのイチイが載っている(現在の環境省巨樹データベースにはない)。その旧資料の「独特の呼称」欄に「ヒムロギ」とあった。神籬(ひもろぎ)のことではないだろうか。
神籬とは『神事で、神霊を招き降ろすために、清浄な場所に榊(さかき)などの常緑樹を立て、周りを囲って神座としたもの。のちには神の宿る所として室内・庭上に立てた、榊などの常緑樹もいう。』(「大辞泉」)
神道の用語としては、それが神籬の正しい解釈なのかも知れないが、アニミズム的な民間信仰概念ではもっと広い意味で用いられているのではないだろうか。神の依り代とされるもの、つまり、ひときわ立派な姿をしていてよく目立ち、神が地上に降る際の目印となるような地形要素(岩や立木など)はみな神籬であるとされることが多いように思われる。
このイチイも同様なのではあるまいか。墓地に神様は似合わないが、今は天上に在る先祖の魂が地上に戻る際の目印も、広義の神籬と考えられたとすれば納得できるような気もする。
…まさか、ヒノキ科のヒムロと間違えたわけではないと思うのだが。 |
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