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白山禅定道。中央やや左奥がトチノキ 旧道脇の棚田 |
名称 前谷床並社跡のトチノキ (まえだにとこなめしゃあとのとちのき) 名称の典拠 天然記念物指定名称 樹種 トチノキ 樹高 30m(注1) 目通り幹囲 5.8m(注1) 推定樹齢 600年(注1) 所在地の地名 岐阜県郡上市白鳥町前谷字正ヶ洞(注2) 〃 3次メッシュコード 5336−76−35 〃 緯度・経度 北緯35度57分04.7秒 東経136度49分17.5秒 岐阜県指定天然記念物(1991年11月22日指定) 撮影年月日 2011年6月4日 注2)2004年3月1日、郡上郡内の3町4村が合併して郡上市誕生。旧行政区は郡上郡白鳥町 岐阜県から天然記念物指定を受けているにもかかわらず、このトチノキは環境省巨樹データベースには登録されていない。 所有者は白山神社ということだが、どうやら神社の境内ではなく、山中にありそうだ。訪ねるのは半ば諦めていたが、「時間の輪」に載っていた。 「時間の輪」の記述が的確であることは十分に承知している。その記述を頼りに訪ねることにした。 国道156号から、石徹白に向かう県道314号に入る。 国土地理院の2万5千分の一地形図であらかじめ確かめておいた、桧峠に向かう歩道に近づいたあたりで、確か、案内板があるはずだがと、左手に注意しながらゆっくり走ると、果たせるかな、旧道の表示があった。 予想に反して自動車も走れる舗装道路である。道なりにどんどん登って行くと、小さな十字路があり、今度はそこに白山禅定道の案内板があった。 ここからは禅定道を徒歩。「クマ出没注意」の表示があったので、スキーストックにクマ除けの鈴をつけて歩き始めたら、せいぜい100mも歩いたところで、すぐにトチノキが目に入った。 トチノキは渓流の対岸。名前からみて、ここには神社があって、加賀白山までの長い道のりを志した登拝者の休憩地でもあったのだろう。しかし、現在、その面影はない。 禅定道は、白山信仰の最盛期には、「上り千人、下り千人」と言われるほどに賑わったという。ここから白山までは、険しい山道を数十kmの行程だ。いつ倒れても可とばかりに死出の旅に着る白装束に身を包み、ひたすら歩き続けた登拝者の心を想像してみたが、叶わなかった。何を捨てるわけでなく、のほほんと巨樹探訪をした翌日には日常に戻る私などとは、心根の座り方が違う。 このトチノキを見る気持ちも違うのだろうな、とは思うのだが、所詮、次元の違いを実感するばかりだった。 |
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