ページタイトル:法恩寺のねまり杉 当サイトのシンボルマーク

画像:法恩寺のねまり杉 名称 法恩寺のねまり杉 (ほうおんじのねまりすぎ)
名称の典拠 天然記念物指定名称(注1)
樹種 スギ
樹高 20m(注2)
目通り幹囲 4.7m+4.6m(注2)
推定樹齢 340年(注3)
所在地の地名 福井県勝山市芳野(注4)
 〃 3次メッシュコード 5436−04−66
 〃 緯度・経度 北緯36度03分40.2秒
           東経136度34分43.0秒
勝山市指定天然記念物(1975年10月15日指定)
撮影年月日 2020年11月15日

注1)2002年に勝山市が設置した案内板では「法恩寺ねまり杉」と書かれており、「の」が無いのだが、同市ウェブサイトの文化財一覧表では標記のように記されている
注2)上記案内板による
注3)上記案内板では320年とされているが、訪問時はそれから18年を経ていたので、20年を加えた
注4)マピオンやグーグル地図はこの場所を芳野としているが、もともと地名は割り当てられていないのか、勝山市の文化財一覧表による所在地は「勝山市170字奥山1-38」となっている





 義務教育とラジオ・テレビの普及により日本語の標準化が進み、方言を話せる人が少なくなった。
 私が住む新潟県の方言の一つに「ねまる」という動詞があるのだが、今の若い人はもう知らないのではないだろうか。かく言う私自身も、聞き言葉としては意味を理解できるが、自分からその語を発することは無い。
 「ねまる」というのは「座る」という意味である。「寝る」ではない。「寝る」つまり横になることは「ながまる」と言う。従って「ねまり杉」とは「座り杉」「座っている杉」という意味だ。(福井県でも「ねまる」が通用するとは知らなかった)
 普通の杉に比べ、樹高がずっと低く、樹冠部も低い位置にあるが、さりとて幹が大きく傾いているわけでもない。この姿を、立っているのでも寝ているのでもない、座っているのだ、と見なしたのではないか…と、そんなことを考えたのだが、私の想像は外れた。案内板には奇異な枝振りが命名の由来だとある。どの部分、あるいはどんな様子を指しているのだろうか?
 「ねまり杉」が立つのは法恩寺山(ほうおんじさん、標高1357m)の西斜面、傾斜が緩くなっているあたり。樹林内に潜むスギである。
 ほぼ同じ太さの幹が2本並び、根元はくっついて一体化している。樹形は明らかにウラスギの姿だ。
 2株がくっついたのか、もともと1株だったのか、どちらとも見えそうだが、文化財一覧表は員数を1本としているので、勝山市ではもともと1株だったと考えているようだ。
 いずれにしろ2本は同じ遺伝子を持っているようで、樹皮の様子や枝振りが双子のようによく似ている。
 ところで、このあと、ハプニング発生。
 撮影に気を取られていると、1羽のノウサギが「ねまり杉」の根元をまさしく「脱兎の如く」走り抜けていった。根元でバランスを崩せば「ころり転げた木の根っこ」ということになるのだが、さすが野生動物、障害物など何も無いかのような見事な身のこなしである。
 私の方がむしろ吃驚。
 人間が近づいて来るのに気づいて物陰に身を潜めていたノウサギが、カメラを手に私の動きが止まったタイミングを見計らって、これはチャンスと走りだしたのだろう。
 発見が一つ。ウサギの体毛はほぼ白くなっていた。一部に夏毛の茶色も残っていたが、ほぼ全身が冬毛。雪が降って毛が白くなるのでなく、降雪に先立って体毛が生え替わるのだ。だから、見えさえすればウサギの動きはよく目立つ。この季節はノウサギにとって非常に危険な季節なのである。
 もともと足には自信があるはずだが、最初、逃げずに隠れたのは、ノウサギ自身もそれを知っているからかも知れない。
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