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名称 富士岡地蔵堂のイチョウ
(ふじおかじぞうどうのいちょう)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 イチョウ
樹高 26m(注2)
目通り幹囲 6.2m(注2)
推定樹齢 伝承600年以上(注3)
所在地の地名 静岡県富士市富士岡
〃 3次メッシュコード 5238−55−98
〃 緯度・経度 北緯35度09分46.4秒
東経138度43分47.2秒
静岡県指定天然記念物(1971年3月19指定)
撮影年月日 2009年2月14日
注1)1982年7月1日に富士市教育委員会が設置
注2)上記案内板による
注3)イチョウに添えられた石碑の碑文による
赤淵川(赤渕川)右岸、住宅密集地に富士岡地蔵堂があり、その背後に1本の大イチョウが立っている。
岳南鉄道「岳南富士岡」駅からは、直線距離にして、東北東600mほど。
集落内の道は狭く、鎖が張られていて地蔵堂境内に乗り入れることも出来ないものだから、車で訪問の際はご注意を。
ご覧のように、根の近くより枝分かれ部分の方が幹回りが大きい。実際に対面すると、データ以上の重量感を覚える。気根の発達もすばらしい。
イチョウのすぐ横、柵内に石碑がある。天然記念物に指定されて間もない1972年7月23日に建立されたものだ。(下図、黒っぽい長方形)
それによると、樹名は「富士岡地蔵堂のイチョウ」とされているが、実は地蔵堂よりイチョウの方が先輩のようだ。
それには、イチョウの名が「子育銀杏」とある。各地にある母乳祈願の慣習が、ここでもあったようだ。乳の出ない母親がこのイチョウに願を掛けると、たちまち乳が出て、子供が健やかに育つという。下垂する気根を乳房に見立てての信仰である。
だんだん大きくなり、威厳を伴ってきたイチョウに神仏の奇跡を見た人々は、その傍らに地蔵尊を安置し、併せて拝むようになったのだろう。なぜなら、不幸にして早世した子は、親を悲しませ続ける罪により、賽の河原を彷徨わなければならないが、その子を救ってくれるのが地蔵菩薩だからである。母乳祈願と地蔵信仰。いずれも、子供可愛さから発している点で共通している。
このイチョウと地蔵尊に託した先人の思いを今後も伝えて欲しい。碑文には、そんな気持ちが込められているように思った。 |
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